家が古くなってきたと感じたとき、多くの人が悩むのが
**「リフォームで済ませるべきか、それとも建て替えるべきか」**という判断です。
築25〜50年の住まいは、設備老朽化だけでなく、
耐震性・断熱性・構造劣化・法規制・可変性といった複合的な要素が絡むため、
単に「古いから建て替え」「お金がないからリフォーム」といった判断では後悔しやすくなります。
この記事では、
- 判断軸
- 築年数別のポイント
- 建て替えと大規模リフォームの比較
- 判断フローチャート
を総合的にまとめ、最適な選択ができるよう徹底解説します。

築38年の実家の判断に悩み、耐震診断を依頼。劣化が進んでいたため建て替えを選びました。費用はかかりましたが、安心して暮らせる家になり満足です。

築27年で外壁・屋根・水回りをリフォーム。建て替えには早く、必要な部分の更新だけで快適になり費用も抑えられました。住みながら工事できたのも良かったです。

築45年でスケルトンリフォームを検討したが、構造劣化が大きく建て替えの方が合理的との判断に。結果として断熱性と動線が大幅に改善され快適です。

みんなの声としては「築38年の実家の判断に悩み、耐震診断を依頼」「必要な部分の更新だけで快適に」「構造劣化が大きく建て替えの方が合理的」などが見られました。
判断軸(耐震・断熱・躯体劣化・法規・資金)

リフォームと建て替えを比較するうえで、まず押さえるべきは5つの判断軸です。
耐震性能(命を守る根本)
最も重要なのが耐震性能です。
1981年の新耐震基準より前の住宅(築40年以上)は、
現行基準の1/2〜1/3程度の耐震力しかないケースが多く、補強が必要です。
耐震補強工事の費用は一般的に
- 一戸建て木造の耐震補強:120〜250万円
- 壁量不足の補強+金物補強:150〜300万円
→ 耐震の基礎知識は「耐震総合」で詳しく解説しています。
既存の基礎が著しく劣化している場合、補強より建て替えの方が合理的となる場合も多くあります。
断熱・気密性能(快適性と光熱費)
築30〜40年以上の家は、
- 無断熱
- 単板ガラス
- 気密性が低い
という仕様が多いです。
断熱リフォームで
- 外壁断熱:150〜300万円
- 天井断熱:15〜40万円
- 窓断熱:1窓8〜25万円
- 気密改修:30万円前後〜
多数の工事が必要になり、建て替えとの差額が小さくなるケースもあります。
断熱リフォーム全体の費用感は、別記事「5-2耐震費用(断熱含む)」で詳述しています。
躯体劣化(シロアリ・腐朽・雨漏り)
築35年以上で多い劣化トラブル:
- 柱の腐朽
- 土台のシロアリ被害
- 屋根裏・壁内の雨漏り
- 外壁のクラック深刻化
躯体劣化が負荷レベルの場合は建て替えが合理的です。
躯体を全交換するスケルトンリフォームは可能ですが、
費用は600〜1,200万円となり建て替えと大差なくなることもあります。
法規(建蔽率・容積率・再建築性)
古い住宅地では、現在の法規では同じ家を建てられないケースが多数あります。
- 再建築不可
- セットバックが必要
- 道路幅4m未満
- 既存不適格
- 建蔽率オーバー
こうした場合、建て替えると延床が減るため、
あえて「リフォーム」一択になるケースもあります。
逆に、敷地条件に余裕がある場合は「増築」も選択肢に入ります。
→ 増築の費用相場は「増築費用」で解説しています。
資金(総費用・住宅ローン・固定資産税)
リフォーム vs 建て替えの概算費用差は以下のとおり。
- 大規模リフォーム:800〜2,000万円
- 建て替え:1,500〜3,500万円
資金制約が強い場合はリフォームが主流ですが、
ローンの観点では 建て替えの方が長期の低金利ローンが組めるため、
月々の支払い差が小さくなるケースもあります。
築年数別の勘所(25/35/40/50年)

次に、築年数ごとに「リフォームか建て替えか」の判断ポイントを詳しく解説します。
築25年:リフォーム中心、建て替えはまだ早い

築25年は、
- 雨漏り前兆
- 外壁劣化
- 設備交換(給湯器・水回り)
- サッシの気密低下
が気になり始める時期です。
築25年のおすすめ判断
- 設備リフォーム:有効
- 外壁・屋根の更新:必要
- 増築:可能
- 大規模リフォーム:慎重
- 建て替え:時期尚早
この時期は“延命リフォーム”が最適です。
例:屋根・外壁・耐震・窓などの総合改修で
合計200〜500万円が一般的。
築35年:耐震・断熱の本格検討が必須

1981年(新耐震基準)前後の住宅の区切りになるのが「築35年前後」。
- 耐震不足が顕著
- 設備寿命が限界
- 外壁ひび割れ
- 配管の劣化
大規模リフォーム or 建て替えの分岐点となる時期です。
築35年の判断の目安:
- 基礎に劣化なし → リフォーム可
- 耐力壁不足 → 補強で対応可能
- 床下湿気・腐朽 → 状況によっては建て替えの方が安い
大規模リフォーム費用:700〜1,500万円
建て替え費用:1,800〜3,000万円
築40年:リフォームと建て替えが五分五分

築40年はほぼ全ての部分で寿命が来ており、
スケルトンリフォームまたは建て替えの二択です。
築40年のポイント:
- 配管の全交換が必要
- 断熱ゼロ → 断熱材全部入れ替え
- 基礎のひび割れ
- 雨漏りリスク大
- 既存不適格の可能性大
スケルトン(全面)リフォーム:1,200〜2,000万円
建て替え:2,000〜3,500万円
差が100〜300万円程度であれば、
耐震・断熱が完全に担保できる建て替えが合理的です。
築50年:建て替えがほぼ最適解

築50年は、
- 構造的な耐震不足
- 金物・柱の腐朽
- アスベスト使用の可能性
- インフラ老朽化(配管)
- 断熱材ほぼ無効
など多数の課題が重なり、建て替えが最も合理的です。
ただし、
- 再建築不可
- 敷地のセットバックあり
- 法規制で延床が減る
などの場合は、リフォームしか選択肢がないこともあります。
建て替え/大規模改修/段階リノベの比較

3つの選択肢を整理すると、次のようになります。
建て替え
メリット
- 新築性能(耐震・断熱)が満点
- 間取り自由度が高い
- 長期ローンが使える
デメリット
- 費用が最も高い
- 仮住まいが必要
- 法規で建てられる面積が減る可能性あり
大規模改修(スケルトンリフォーム)
メリット
- 既存の構造を活かしつつ性能向上
- 法規制の影響が少ない(建て替えより自由)
- 費用は建て替えより300〜800万円安くなることが多い
デメリット
- 構造が劣化している場合は工事困難
- 外壁・屋根の取り合いが複雑
- 新築ほどの性能は出ない場合あり
段階リノベ(分割リフォーム)
メリット
- 費用を分散できる
- 住みながら実施しやすい
- 優先順位に合わせて施工可能
デメリット
- 最終的な総額が高くなりがち
- 根本的な耐震・断熱改善は難しい
判断フローチャート

1. 基礎・構造に深刻な劣化は?
→ YES → 建て替え
→ NO → 次へ
2. 断熱・耐震を現行基準まで引き上げたい?
→ YES → スケルトン or 建て替え
→ NO → 次へ
3. 将来的に間取りを大きく変えたい?
→ YES → 建て替え
→ NO → 次へ
4. コストは?
- 1,000万円以内 → 部分リフォーム
- 1,000〜1,800万円 → スケルトン
- 1,800万円以上 → 建て替え検討
判断に迷う場合、まずは
耐震診断・劣化診断・コスト概算を複数社で比較することが必須です。
→ 具体的な耐震判断基準は「耐震総合」で解説しています。
まとめ:築年数と劣化状況に応じて合理的に判断する

結論として、
- 築25年:設備更新中心のリフォーム
- 築35年:耐震・断熱を含む大規模改修
- 築40年:スケルトン or 建て替えの分岐
- 築50年:建て替えが最も合理的
家の価値は「見た目」では判断できません。
耐震・断熱・躯体の劣化状況を正しく把握し、
“性能” と “資金” のバランスで最適解を選ぶことが重要です。


