近年の浴室リフォームでは、「システムバス(ユニットバス)」が主流です。
工場で規格化されたパネルや床、浴槽などを組み立てる構造のため、防水性・断熱性・施工スピードのすべてに優れています。
一方で、自由設計が難しい、サイズ制約があるなどの注意点も存在します。
本記事では、システムバスの構造・特徴から、メリット・デメリット、主要メーカーの比較までを徹底解説します。
初めての浴室リフォームを検討している方にもわかりやすく、最適な選び方を整理しました。

築25年の浴室をシステムバスに変更。工期が短く、5日で完成。断熱浴槽と床暖房で冬でも快適になり、家族が一番風呂を奪い合うほどお気に入りです。

在来工法のタイル風呂をリフォーム。以前はカビ掃除に苦労していたが、パネル壁になってから手入れが簡単に。見た目も明るく、清潔感が長続きしています。

マンションの浴室をリフォーム。狭くても1216サイズのシステムバスで広く感じるようになりました。段差がなく安全性もアップ。施工も想像より早かったです。

みんなの声としては「たった5日で冬でも快適に」「掃除が楽に」「システムバスで広く使えるように」などが見られました。
システムバス(ユニットバス)とは?

システムバスとは、浴槽・壁・天井・床・ドア・排水構造などを工場で一体化したパーツとして生産し、現場で組み立てる方式の浴室です。
かつてはホテルなど業務用が中心でしたが、今では戸建て・マンション問わず一般住宅でも広く採用されています。
工場生産型ユニットの構造
構成要素は大きく次の5つです。
- 浴槽ユニット – 人造大理石やFRPなどの成型槽。
- 床ユニット – 防水層一体型のパネル構造。断熱材を内蔵するタイプも多い。
- 壁パネル – 樹脂またはアルミ下地に化粧シートを貼った防水壁。
- 天井パネル – 換気扇や暖房乾燥機が取り付けられる軽量構造。
- ドアユニット – 樹脂パネル・断熱仕様で気密性を確保。
現場では、これらを土間コンクリート上に設置し、配管・電気工事を接続するだけ。
在来浴室(タイル貼り・モルタル防水)に比べ、防水層のムラがなく、工期も短縮されるのが特徴です。
システムバスに比べ、自由設計が可能なのが在来浴室です。素材やデザインの自由度・防水施工の難易度についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
システムバスの主なメリット

1. 高い防水性
最大のメリットは防水構造が一体化している点です。
在来浴室のように現場で防水モルタルやタイルを施工する必要がなく、パネル同士のジョイントがシーリング処理で密閉されるため、水漏れのリスクが極めて低くなります。
さらに、床と壁が一体化しているため、水が内部へ染み込みにくく、長期的なメンテナンスも容易です。
2. 断熱性・保温性に優れる
最新のシステムバスでは、床・壁・浴槽のすべてに断熱材が標準装備されるケースが増えています。
床は冷たさを感じにくい樹脂製断熱パネルを採用し、浴槽は「高断熱浴槽」構造で4時間たってもお湯がほとんど冷めません。
また、天井裏や壁の断熱材も一体的に施工できるため、冬のヒートショック対策としても有効です。
3. 掃除がしやすい
パネル・床ともに目地が少なく、汚れがたまりにくいのが特徴。
近年では「カビシャット」パッキンや「スリム排水口」など、掃除の手間を減らす工夫が進化しています。
水はけのよい床材と組み合わせることで、毎日の清掃負担を大幅に減らせます。
4. 工期が短い
在来工法で10〜14日かかる浴室工事が、システムバスなら3〜6日程度で完了します。
既存浴室の解体からユニット組立までが一連化されており、施工の標準化が進んでいます。
短期間で入浴できるようになるのは大きな利点です。
5. メーカー保証と部品互換性
工場生産品のため品質が安定しており、メーカー保証期間が明確です。
また、パーツ交換も容易で、ドア・水栓・床パネルなどを後から交換できます。
将来的なメンテナンス性を考えても安心感があります。
システムバスのデメリット・注意点

どんな住宅にも万能というわけではありません。
システムバスの導入には、いくつかの制約や注意点もあります。
1. サイズ・形状の制限
工場規格サイズで作られるため、基本的には1216(1.25坪)・1616(1坪)・1620(1.25坪)などの標準寸法に合わせる必要があります。
特殊な間取りや梁の位置によっては、希望サイズが収まらないケースもあります。
特にマンションでは梁やパイプスペースの位置でサイズ選定が変わります。マンション用ユニットの制約や注意点はこちらの記事で詳しく紹介しています。
2. デザイン自由度の制約
在来浴室のように、天然石やタイル、木材などの素材を自由に選ぶことは難しいです。
ただし最近では、石目調・木目調・マットカラーなど、質感の高いパネルが各メーカーから登場しており、見た目の高級感は大きく進化しています。
3. 部分補修がしづらい
一体化構造のため、パネルの一部損傷でもユニットごとの交換が必要になる場合があります。
また、床下配管などを改修する場合は、ユニットの解体を伴うこともあります。
4. 初期費用がやや高め
標準仕様であっても、浴室乾燥機・断熱浴槽・スライドバー水栓などを加えると、80〜150万円程度の費用がかかります。
ただし、防水更新や断熱改修を別途行う在来浴室に比べれば、トータルコストは安定的です。
システムバスの費用相場やオプション費用の内訳を詳しく知りたい方は、こちらでタイプ別・メーカー別の価格を比較しています。
システムバスの選び方

1. 家族構成と使用スタイルを考える
- 子どもがいる家庭:掃除のしやすい素材と滑りにくい床を優先。
- 高齢者と同居:段差の少ない設計と手すりの位置が重要。
- 共働き家庭:カビが発生しにくい換気乾燥機付きモデルが便利。
生活スタイルを中心に機能を選ぶことで、無駄なオプションを省けます。
2. 断熱・換気機能を優先
浴室の快適さを決めるのは断熱・換気です。
床暖房や浴室乾燥機は、冬場の温度差を減らしカビ抑制にも効果的。
光熱費を抑えるためにも、断熱浴槽+換気乾燥暖房機のセットを検討するとよいでしょう。
3. メーカーショールームで体感する
カタログだけではわからないのが、素材の触感や掃除動線。
メーカーのショールームで実際に扉の開閉や床の質感を確かめると、失敗が減ります。
壁パネルの色や照明の明るさは、現物で確認するのが理想です。
おすすめメーカー別の特徴
ここでは、国内主要メーカーの特徴を簡潔に整理します。
TOTO(サザナ・シンラ)
- 「ほっカラリ床」で足元が柔らかく冷たくない。
- 高断熱浴槽+魔法びん構造で保温性に優れる。
- 上位モデル「シンラ」は肩湯・腰湯機能で贅沢な入浴が可能。
LIXIL(リデア・スパージュ)
- 「キレイサーモフロア」で汚れが落ちやすく乾きやすい。
- スパージュではアクアタワー・打たせ湯などリゾート感を演出。
- デザインバリエーションが多く、スタイル重視派に人気。
Panasonic(オフローラ・Lクラス)
- スゴピカ素材の浴槽・カウンターで掃除が簡単。
- ミストサウナや照明演出など、快適機能が豊富。
- 節水・省エネ性能も高く、ランニングコストを抑えやすい。
Takara standard(グランスパ・プレデンシア)
- ホーローパネルが最大の特徴。傷や汚れに強く長寿命。
- 磁石で収納位置を自由に変えられる利便性も人気。
- 耐久性重視・メンテナンス性重視の家庭に向く。
NORITZ(ユパティオ)・クリナップ(アクリアバス)
- シンプルな構造でコスパが良い。
- 細かいサイズ展開があり、戸建て・マンション両方に対応。
- 標準仕様で断熱・保温が充実。
メンテナンスと耐用年数
システムバスの耐用年数は15〜25年程度。
ただし、換気・水栓・排水トラップなどのパーツは10年を目安に交換が必要です。
日常的な掃除は、中性洗剤と柔らかいスポンジで十分。
目地のシーリングが劣化してきたら、早めの再施工を行いましょう。
システムバスに向いている住宅タイプ
- 戸建て住宅:断熱施工と組み合わせれば冬でも快適。
- マンション:軽量で施工が早く、梁対応モデルが豊富。
- 賃貸リフォーム:短工期で入居再開でき、コスト回収しやすい。
どの住まいでも、規格寸法が合えば最もコスパの高い浴室リフォームといえます。
システムバスリフォームの費用目安

| グレード | 費用相場 | 主な仕様 | 工期 |
|---|---|---|---|
| ベーシック | 70〜100万円 | 標準浴槽・換気扇・断熱床 | 約3〜5日 |
| ミドル | 100〜150万円 | 高断熱浴槽・乾燥暖房機・スリムカウンター | 約4〜6日 |
| ハイグレード | 150〜250万円 | 人造大理石浴槽・照明演出・浴室テレビ | 約5〜7日 |
グレードを上げるほど機能性も向上しますが、コストは上限を決めて選定することが大切です。
まとめ:快適性・防水性・省エネを兼ね備えた現代の浴室
システムバスは、現代の住宅に最も適した浴室工法です。
防水性・断熱性・掃除性のどれを取っても優れており、工期も短く品質も安定。
一方で、自由設計や素材表現を求める場合は在来浴室の方が適しています。
自宅の構造・家族構成・ライフスタイルを踏まえて、
「どこまで機能重視にするか」「どのグレードを選ぶか」を明確にすると、
費用を抑えつつ理想の浴室を実現できます。
断熱・デザイン・保温のバランスを最適化し、
長く快適に使えるシステムバスを選びましょう。





