「親が転倒しないか心配…」「将来のためにバリアフリーにしたい」
こうした不安を解消するのが、介護リフォームです。
年齢を重ねても安全で快適に暮らせる住まいに整えることで、介助する家族の負担も軽減できます。

母が廊下で転倒したのをきっかけに手すりを設置しました。工事は1日で完了し、見た目も自然。安心して歩けるようになり、家族全員がホッとしています。

介護保険を利用して、玄関の段差をスロープにしました。自己負担は1万円ほどで済み、思っていたより安くて助かりました。申請も業者が代行してくれました。

まだ介護は必要ないのですが、将来を考えてドアを引き戸に変更。車いすでも通りやすく、家の動線がスムーズになりました。早めにやって正解でした。

みんなの声として「両親の転倒対策」「介護保険で費用軽減」「将来を見据えたリフォーム」などが見られました。
この記事では、介護リフォームの費用相場・補助金制度・リフォーム内容別のポイントを分かりやすく解説します。
介護リフォームとは?目的と必要性

介護リフォームとは、高齢者や体の不自由な方が安全に生活できるよう、住宅を改修することです。
日常生活の動線を見直し、**「転倒防止」「移動のしやすさ」「介助のしやすさ」**を重視して設計します。
特に多いのが次のようなケースです。
- 家の中での転倒を防ぎたい
- 車いすで移動できるようにしたい
- 段差をなくしてバリアフリーにしたい
- 介助スペースを確保したい
介護リフォームは、高齢者本人だけでなく、介護する家族のストレス軽減にも大きく役立ちます。
介護リフォームの費用相場
リフォーム内容によって費用はさまざまですが、目安として以下のようになります。
改修内容 | 費用相場(税込) |
---|---|
手すりの設置 | 約1〜3万円/箇所 |
段差の解消(スロープ・床調整など) | 約3〜10万円 |
浴室のバリアフリー化 | 約20〜100万円 |
トイレの改修(洋式化・拡張) | 約10〜40万円 |
玄関アプローチ(スロープ・手すり) | 約10〜50万円 |
ドアの引き戸化 | 約5〜20万円 |
階段昇降機の設置 | 約40〜100万円 |
小規模な手すり工事なら数万円から可能ですが、浴室やトイレの改修は構造変更を伴うため高額になります。
介護リフォームの主な改修ポイント7選
① 手すりの設置

最も基本的で効果的な改修です。
トイレ・浴室・廊下・玄関など、立ち上がりや方向転換が多い場所に設置します。
- 壁面にしっかり固定できるよう、下地補強が必要
- 握りやすい太さ(直径3〜3.5cm)が理想
- ステンレスや木製など、手触りやデザインで選ぶ
② 段差の解消
家の中の数センチの段差も、高齢者には転倒リスクになります。
床の高さを合わせる「床上げリフォーム」や「スロープ設置」が有効です。
- 室内の敷居段差をフラット化(約3〜8万円)
- 玄関には緩やかなスロープを設置(約10〜30万円)
車いすを利用する場合は、**勾配(1/12以下)**を意識するのがポイントです。
③ トイレのリフォーム
トイレは介助が必要になることも多く、スペースの確保と安全性が重要です。
- 和式トイレ → 洋式トイレへ変更(約15〜30万円)
- 出入り口を引き戸に変更(約5〜10万円)
- 手すり・背もたれ・緊急ボタンの設置
将来的に車いすでも入れるよう、間口を80cm以上確保するのがおすすめです。
④ 浴室のリフォーム

浴室は家庭内で最も事故が多い場所の一つ。
滑り防止・温度差対策・介助スペースを考慮した改修が欠かせません。
- 段差のないユニットバスへの交換(約50〜100万円)
- 滑りにくい床材へ変更
- 浴槽の高さを低く・出入りしやすく
- 浴室暖房機を設置してヒートショック対策
安全性を最優先に、必要に応じて介護用浴槽も検討しましょう。
⑤ ドアを引き戸に変更
開き戸は体を引かないと開けられず、バランスを崩す危険があります。
引き戸に変更することで、車いすでも出入りがスムーズになります。
- 開き戸 → 引き戸: 約5〜20万円
- アウトセット引き戸なら壁工事が不要で安価
⑥ 床材の変更
滑りやすいフローリングや段差のある畳を、安全性の高い素材に変更。
- 滑りにくいノンスリップフローリング
- 転倒時の衝撃を吸収するクッションフロア
- 畳を撤去してフラット床に変更
費用は6畳あたり約10〜20万円が目安です。
⑦ 玄関・アプローチのリフォーム

外出の際の安全性を確保するため、玄関まわりも重要なポイントです。
- スロープ設置(約10〜40万円)
- 手すり・滑り止めマットの設置
- ポーチ階段をゆるやかにリメイク
夜間でも安心できるよう、人感センサー付き照明を設置するのもおすすめです。
介護リフォームの補助金・助成制度
① 介護保険による住宅改修費支給制度
要介護・要支援認定を受けている方は、**最大20万円(自己負担1〜3割)**まで補助が受けられます。
対象工事は以下の通りです。
- 手すりの設置
- 段差の解消
- 滑り防止・床材変更
- 引き戸・洋式トイレへの変更
例:手すり設置3万円 → 自己負担は3,000〜9,000円程度
※市区町村への申請が必要で、事前申請が原則です。
② 自治体独自の助成金制度
介護保険以外にも、自治体によっては独自の補助制度があります。
たとえば東京都では「高齢者住宅改修費助成制度」などがあり、
介護保険対象外の工事にも支援が出ることがあります。
→ 各自治体の福祉課・建築課に相談するのがおすすめです。
費用を抑えるコツ

- 補助金を最大限活用する
介護保険・自治体補助を併用することで、実質自己負担を半額以下にできる場合も。 - 複数の業者で見積もりを比較する
同じ内容でも業者によって10万円以上の差が出ることがあります。 - 必要な場所から優先的にリフォームする
全体改修ではなく、まずは浴室・トイレ・廊下など「転倒リスクが高い場所」から実施するのが効果的です。
介護リフォームの工期目安
工事内容 | 工期目安 |
---|---|
手すり設置 | 約1日 |
段差解消・引き戸化 | 約2〜3日 |
トイレ改修 | 約3〜5日 |
浴室リフォーム | 約5〜10日 |
スロープ設置 | 約3〜7日 |
工事期間中は生活動線が制限されるため、仮設トイレや浴室利用などの準備も大切です。
まとめ|介護リフォームは早めの準備が安心
介護リフォームは「必要になってから」ではなく、転倒や介助が必要になる前に計画するのが理想です。
- 小規模工事:数万円〜
- 大規模改修:20万〜100万円
- 介護保険や自治体補助で費用負担を軽減可能
将来を見据えて安全な住まいに整えることは、本人の自立にもつながります。
まずは専門業者や自治体窓口に相談し、自宅の状況に合った最適なリフォームプランを立てましょう。