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外壁の色で電気代が変わるって本当?科学的に解説|遮熱の仕組みから最適な色選びまで

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「外壁の色によって家の温度が変わる」「冷房代に影響する」といった話を聞いたことはありませんか?
結論から言うと 外壁の色は確かに室内温度に影響し、結果として電気代にも差が出ます。

ただし、その効果は

  • 地域(日射量)
  • 外壁の仕上げ
  • 断熱性能
  • 屋根材の色
  • 遮熱塗料の有無
    など、多くの要素と組み合わせて判断する必要があります。

この記事では、外壁色の科学的な影響と、どれくらい電気代が変わるのかを専門的かつ分かりやすく徹底解説します。


外壁の色が電気代に影響する理由(熱吸収と反射のメカニズム)

外壁の色が温度へ影響するのは、太陽光の吸収率・反射率が色ごとに大きく違うためです。


外壁色と「吸収率・反射率」の基本

外壁の色による熱吸収の違いを比較した日本の住宅外観。白い外壁は日光を反射し、黒い外壁は熱を吸収しやすい様子を示す。

太陽光(可視光+赤外線)は、色の明るさによって吸収され方が変わります。

  • 白・アイボリー・薄グレー → 反射率が高い(熱を吸いにくい)
  • 黒・濃紺・ダークブラウン → 吸収率が高い(熱を吸収しやすい)

つまり、同じ断熱性能でも、色の違いだけで表面温度が10〜20℃変わることが珍しくありません。


明るい色ほど夏の冷房費が下がりやすい理由

夏の直射日光では、外壁温度が60℃を超えることがあります。
明るい外壁ほど熱を室内に伝えにくく、以下の効果が期待できます。

  • 外壁表面温度の低減
  • 壁内温度の上昇抑制
  • 室内温度の上昇を防ぐ
  • 冷房負荷の減少

実測実験では、白系の外壁は黒系に比べて表面温度が15〜20℃低かったというデータもあります。


黒・濃色はなぜ高温になりやすいのか?

黒は可視光と赤外線の大半を吸収します。
表面温度が上がると、その熱が壁内に伝わり、断熱性能が低い家では室温に影響します。

濃色はデザイン性が高い一方で以下の懸念があります:

  • 夏に外壁が高温になる
  • 外壁材が膨張・ひび割れやすい
  • 退色が早い
  • 冷房負荷が増える

以上から、濃色は寒冷地には適するが、日射の強い地域では不利になりがちです。


冬は濃色が有利になるケースもある

冬場は太陽高度が低く、熱の吸収が少し有利な場面もあります。
ただし、現代の住宅では冬より夏の冷房費のほうが上がりやすく、
年間トータルでは「明るい色」のほうが省エネになるケースが多いとされています。


外壁の色別:温度上昇データと科学的比較

ここでは、一般的な外壁材(サイディング)における色別の温度差を説明します。
※実測値は製品・地域・日射角度により変動しますが、傾向は共通です。


白・アイボリー・薄グレー:最も外壁温度が上がりにくい

白やベージュなどの淡色外壁の日本住宅が日光を反射し、外壁温度の上昇を抑えて冷房効率が高まる様子を示す外観。

外壁表面温度:40~50℃前後(直射時)

特徴:

  • 太陽熱を反射する
  • 断熱性能の低い家でも室内温度が上がりにくい
  • 汚れは目立ちやすいが省エネ性能は高い

室内温度の上昇が少ないため、冷房費の節約効果が大きい色です。


中間色(グレー・ライトブラウン)

外壁表面温度:50~60℃前後

バランスが良く、デザイン性も高い。
淡色に比べ省エネ性能は劣りますが、濃色ほどデメリットは大きくありません。


濃色(黒・ネイビー・ダークブラウン)

黒やネイビーの濃色外壁を持つ日本住宅が強い日差しを受け、外壁表面が高温になりやすい様子を表現した外観。

外壁表面温度:60~75℃前後

濃色は家のデザインを引き締めますが、
温度データを見る限り、最も熱を持ちやすい色です。

  • 冷房費が増える
  • 外壁材が熱膨張しやすい
  • メンテナンス頻度が短くなる場合も

ただし、寒冷地では冬の暖房効率が上がる可能性もあるため、地域差が大きく出ます。


屋根色の影響も非常に大きい

明るい外壁と反射率の高い屋根材を組み合わせた日本の住宅外観。外壁色と屋根断熱が電気代に影響することを示す構図。

住宅の熱の大半は屋根から侵入します。
そのため、外壁色だけでなく、屋根材の色と遮熱性能も同時に考えることが重要です。


→ 屋根の遮熱性能については「断熱リノベ」で詳しく解説しています。


電気代にどれだけ影響するのか(冷暖房への実質効果)

外壁色の違いによる温度差を示した比較サーモグラフィ風イメージ。白い外壁は低温、黒い外壁は高温になりやすい様子を可視化した画像。

外壁色が室内温度に影響するのは事実ですが、気になるのは電気代への実質効果です。


夏の冷房費:明るい色で“最大10〜15%削減”の試算も

環境省や建材メーカーの試験によると、

  • 白系外壁 → 室温上昇を抑制
  • 濃色外壁 → 室温が 1.0~2.5℃上昇

これにより冷房費が 5〜15%前後変わる可能性があります。

一般的な家庭で冷房費が月4,000円の場合:

→ 年間 2,000〜7,000円ほどの差
(地域・断熱の有無により変動)


冬の暖房費では濃色外壁にやや軍配

濃色外壁は熱を吸収するため、
冬に日当たりのよい家では暖房効率が良くなるケースもあります。

ただし、冬の日射量は地域差が大きく、
年間の光熱費では、夏の影響が大きいため淡色の方が有利という研究結果が多いです。


色だけでは不十分?断熱材・窓の影響の方が大きい理由

外壁の色も重要ですが、電気代へ与える影響としては
下記のほうが圧倒的に大きいです。

  • 断熱材の厚み
  • 気密性
  • 窓の性能(Low-E複層ガラスなど)
  • 屋根断熱

外壁色はあくまで「省エネ対策の一部」と考える必要があります。


最終的な最適解:色×遮熱塗料×断熱性能の組み合わせ

外壁温度と電気代を同時に下げるためには、

  • 明るめの外壁色
  • 遮熱塗料(反射率アップ)
  • 断熱材の補強

この3セットが最も効果的です。


外壁塗装で電気代を下げる方法(塗料選びと工事ポイント)

外壁色は電気代に影響しますが、塗料選びでも大きく変わります。


遮熱塗料とは?

外壁に塗布された遮熱塗料の表面が太陽光を反射して温度上昇を抑える様子を示した、外壁素材のクローズアップ画像。

遮熱塗料は、
赤外線(熱)を反射して外壁温度を下げるための高機能塗料です。

通常塗料との違い:

  • 表面温度が10〜20℃低くなる
  • 色を問わず熱反射性能が高い
  • 夏の冷房負荷を軽減

濃色でもある程度の遮熱性能が得られます。


遮熱塗料の効果:実測比較

一般的な実験では、

  • 通常塗料:外壁温度 60〜70℃
  • 遮熱塗料:外壁温度 45〜55℃

という結果が得られています。


遮熱塗料が向いている住宅

  • 南面に直射日光が当たる
  • 日射の強い地域(関東〜西日本)
  • 濃色デザインを選びたい
  • 冷房費を下げたい

外壁色×遮熱塗料“おすすめ3パターン”

  1. 白 × 遮熱塗料(最強の冷房効率)
  2. 薄グレー × 遮熱塗料(デザインと省エネの両立)
  3. 濃グレー・黒 × 遮熱塗料(濃色でも温度上昇を抑える)

外壁色を選ぶときの注意点(デザイン・汚れ・退色)

色選びは科学的要素だけでなく、メンテ性・景観・デザインも重要です。


白は汚れやすい?メンテナンスとのバランス

白系は省エネ性能が高い反面、
雨だれや排気ガス汚れが目立ちやすく、

  • メンテ周期が短くなる
  • 手入れが増える

というデメリットがあります。


濃色は退色・熱膨張・ひび割れに注意

黒・ネイビーなどの濃色は、

  • 日差しで退色しやすい
  • 外壁材が熱膨張する
  • クラック(ひび割れ)リスク

が高く、地域や環境によって向き不向きが出ます。


景観ルールの確認

地域によっては、

  • 景観条例
  • 街区の色調ガイドライン

で使える色が制限されていることもあります。


外壁の人気色(2024〜2025)

  • ホワイト系
  • ライトグレー
  • ベージュ
  • スモーキーグレー
  • 二色ツートン
  • ブラウン×ブラック

近年は「淡色×ポイント濃色」の組み合わせが人気です。


まとめ:外壁色は「科学×デザイン×省エネ」で選ぶのが正解

外壁色の違いは、科学的に見ても室内温度と電気代に確かに影響します

ただし、外壁色だけでは限界があり、

  • 遮熱塗料
  • 屋根断熱
  • 開口部(窓性能)
  • 断熱材

と組み合わせることで、初めて大きな効果を得られます。

外壁色は“デザイン性+省エネ+地域性”で選ぶのが最適解です。