「フルリノベーション」とは、住宅の内装・設備・間取り・配管・断熱・電気配線などを大規模にやり替え、
新築同等レベルまで性能とデザインを引き上げる総合的な改修工事のことを指します。
近年、中古住宅の価格高騰により、
「新築より安く、自分好みの住まいが手に入る」
という理由で人気が高まっているリノベーション手法です。
ただし、フルリノベと一口に言っても、
- どこまでやると「フル」なのか?
- マンションと戸建てで何が違うのか?
- 費用はどの程度見ておくべきか?
- スケルトンリノベとの違いは?
といった疑問を抱える人も多いはずです。
この記事では、フルリノベの定義・工事範囲・費用・工期・構造ごとの違いを総まとめで解説します。

中古マンションをフルリノベ。スケルトンにして間取りを一新し、設備もフル交換。新築より安く、自分たち好みの住まいが完成しました。

築30年戸建てをフルリノベ。断熱と耐震を強化し、外壁も一新。設備交換で追加費用はあったが、性能は新築同様になり満足しています。

マンションリノベで壁式構造に制限があったが、収納と動線を見直して快適性が向上。管理規約の確認が重要だと実感しました。

みんなの声としては「中古マンションをフルリノベ」「築30年戸建てをフルリノベ」「壁式構造に制限があった」などが見られました。
フルリノベの定義と「どこまでやるとフルなのか?」

一般的に、
ただの表層リフォームとは異なり、フルリノベは「内部をほぼ一新する工事」を指します。
フルリノベーションの典型的な工事範囲
以下の内容のうち、半分以上を含めると“フルリノベ”と呼んで差し支えません。
- 間取り変更(壁の撤去・新設)
- 内装の総張り替え(床・壁・天井)
- 水回り設備の交換(キッチン・浴室・洗面・トイレ)
- 給排水管の交換
- 電気配線・分電盤の更新
- 換気ダクトの再構成
- 断熱材の施工(マンションは部分的)
- 建具・サッシ交換(管理規約により制限あり)
- 収納・造作家具の設置
- スケルトン解体(マンション・戸建て両方で実施されることも)
つまり、
フルリノベ=「劣化した部分も含めて全体を再構築する大規模改修」
と考えるとわかりやすいです。
表層リフォームとの違い
| 内容 | 表層リフォーム | フルリノベーション |
|---|---|---|
| 範囲 | 壁紙・床の張替え | 構造以外ほぼ全て |
| 間取り変更 | ほぼ不可 | 大幅に可能 |
| 配管・電気 | 原則触らない | 交換・新設が多い |
| デザイン自由度 | 低め | 非常に高い |
| 費用 | 安い | 高め |
| 工期 | 短い | 長い |
スケルトンリノベとの違い(後述)
スケルトンは“構造体だけを残して全て解体”してから再構築する方式で、
フルリノベの一種でもあります。
※詳細は下部の 「スケルトンリノベとの違い」でも解説します。
→ スケルトン工事の専門解説は「スケルトンリノベ」記事をご覧ください。
マンション/戸建て別の工事項目と費用構成

フルリノベは、マンションか戸建てかで工事範囲・費用・難易度が大きく変わります。
【マンションのフルリノベ】工事内容と費用構成

マンションは構造体(壁・梁・床)が共用部であるため、
工事できるのは専有部分のみとなります。
マンションでできる工事
- 間取り変更(非構造壁のみ)
- 床材・壁紙の全面交換
- キッチン・浴室・洗面・トイレの総入れ替え
- 電気配線・スイッチ類の刷新
- 配管の更新(床下スペースによる)
- 天井デザイン(折り上げ天井など)
- 断熱強化(内窓や壁内断熱)
- 収納・造作家具の設置
マンションでできない・制限される工事
- 窓(サッシ)は共用部扱い
- バルコニー・外壁の改修は不可
- 排水経路の変更に制限(縦管位置による)
- 水回りの移動が難しい物件あり
- 遮音規定(L-45などの床レベル)
- 管理規約で工法・材料が制限される場合も
→ マンションごとの制約については「中古マンションリノベ個別」で詳しく解説しています。
マンションのフルリノベ費用の目安
| 規模 | 面積 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 1LDK | 40〜50㎡ | 500〜700万円 |
| 2LDK | 55〜65㎡ | 700〜1,000万円 |
| 3LDK | 70〜80㎡ | 900〜1,300万円 |
費用の大半は以下で構成されています。
マンション費用内訳
- 解体工事(スケルトン)
- 電気配線・分電盤の更新
- 給排水管の交換
- 水回り設備費
- 内装工事
- 管理規約に伴う養生・搬入費
- 設計費・現場管理費
【戸建てのフルリノベ】工事内容と費用構成

戸建ては「外装まで含めたフルリノベ」が可能で、
マンションより工事の自由度が高い点が大きな特徴です。
戸建てのフルリノベで行う工事
- 外壁の張り替え・塗装
- 屋根改修・葺き替え
- 耐震補強(筋交い・金物・構造壁)
- 断熱材の全面入れ替え
- 給排水・ガス配管の刷新
- 玄関ドア交換
- 間取り変更(壁・柱・梁の移動は構造計算が必要)
- 内装すべて(床・壁・天井・建具)
- 基礎補強
- 電気配線全面更新
戸建ては**“性能を新築レベルに戻す”**ことが目的になる場合が多いです。
戸建てのフルリノベ費用の目安
| 規模 | 延床 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 小規模住宅 | 70〜90㎡ | 900〜1,300万円 |
| 標準住宅 | 100〜120㎡ | 1,200〜1,700万円 |
| 大型住宅 | 130〜150㎡ | 1,500〜2,200万円 |
費用が高くなる要因:
- 外壁工事
- 屋根葺き替え
- 断熱材総入れ替え
- 耐震補強
- 基礎補強
→ 戸建てリノベについては「中古戸建リノベ個別」で詳細を解説しています。
スケジュール(設計〜解体〜工事〜引き渡し)

フルリノベは新築並みのスケジュール感で進みます。
全体を「設計→解体→工事→引き渡し」の流れで見てみましょう。
1. 設計・プランニング(1〜2ヶ月)
- 現地調査
- 間取り・デザイン案の作成
- 構造確認
- 設備計画
- 工事費の概算
- 3Dパースの確認
特に水回りの移動と配管経路の変更は、この段階で慎重に行います。
2. 解体工事(1〜3週間)
スケルトンにする場合は、
- 壁
- 天井
- 床
- 給排水管
- 内装材
すべて撤去するため、解体費は大きな割合を占めます。
3. 工事(1.5〜3ヶ月)
- 配管・配線工事
- 外装(戸建て)
- 断熱工事
- 内装下地
- 建具・造作家具
- 水回り設備設置
- 床・クロス工程
- 最終仕上げ
マンションは共用部養生が必要で、工期が長くなる傾向があります。
4. 完了検査・引き渡し
工事後は内覧し、
- 傷
- 建具の動作
- コンセント・照明
- 水回りの排水チェック
などを細かく確認します。
スケルトンリノベとの違い・重なる部分

“スケルトンリノベ=フルリノベ”と思われがちですが、
正確には以下のように違いがあります。
フルリノベとスケルトンの違い
| 項目 | フルリノベ | スケルトンリノベ |
|---|---|---|
| 解体範囲 | 全部またはほぼ全部 | 構造体以外すべて |
| 外壁工事 | 戸建てのみ可 | 戸建てなら可能 |
| 費用 | 中〜高額 | 高額 |
| 性能改善 | 部分的〜全体 | 全体(新築同等) |
| 配管刷新 | 可能 | ほぼ必須 |
結論:
スケルトンはフルリノベの“最大状態”。
全面的に解体し、新築に近い性能まで引き上げる工事です。
→ スケルトンリノベの専門解説は「スケルトンリノベ」を参照。
フルリノベ費用を左右するポイント

- 解体量
- 設備グレード
- 外装の有無(戸建て)
- 配管の状態
- 断熱材の有無
- 電気容量の変更
- 施工会社の技術力
特に「配管・断熱・構造補強」は追加費用の発生率が高く、
事前の劣化調査が必須です。
→ リノベ費用の全体像は「費用総論」にまとめています。
中古物件×フルリノベの注意点

- 雨漏りの有無を確認する
- 配管・配線の寿命を確認
- マンション規約を早期確認
- 工期の遅延を前提にスケジュールを組む
- 断熱性能を上げるならスケルトンに近い工事が必要
まとめ:フルリノベは「家を再構築する工事」

フルリノベは、単なるリフォームではなく
家自体を再構築し、新築同様の性能とデザインを手に入れるための工事です。
- マンションは専有部の刷新に特化
- 戸建ては外装・構造・断熱までフルで改善可能
- スケルトンはフルリノベの最上位版
- 費用は600〜2,200万円が中心
- 工期は2〜4ヶ月前後
- 中古物件選びから工事会社の選定まで一貫した流れが重要
フルリノベは高額ですが、
暮らしやすさ・性能・デザイン性が劇的に向上する投資価値の高い改修です。




