「リビングに観葉植物を置くと、子どもの学習態度が落ち着く」「集中力が続くようになった」
こうした声は少なくありません。しかし、本当に植物と成績に関係があるのでしょうか。
結論からいえば、
観葉植物そのものが成績を直接上げるわけではないものの、学習環境を整え、集中しやすい状態をつくる効果は科学的に支持されている
と言えます。
本記事では、心理学・認知科学・環境デザインの観点から、
観葉植物が子どもの学習にどのような影響を与えるのかを解説し、
家庭で実践するための配置方法や注意点まで総合的にまとめます。
観葉植物と成績はどう関係するのか

一見関係なさそうに見える植物と学習。しかし、学習効率や集中力は、子どもの性格だけでなく、
周囲の環境要因によって大きく左右される
という研究が多数あります。
その中で観葉植物は、家の中に自然要素を持ち込む「バイオフィリックデザイン」の一環として注目され、
学校・保育園・オフィスなど多くの環境改善で導入されています。
観葉植物が学習にプラスに働く主なメカニズムは次の4つです。
- ストレスを低減し、学習に取り組みやすい心理状態を作る
- 視覚疲労が軽減され、集中力が持続しやすくなる
- 注意回復理論により、短時間で集中が戻る
- 空間が整い、散らかりにくくなることで学習モードが保ちやすくなる
以下で詳しく解説していきます。
子どもの学習に影響する“家庭環境要因”
成績は勉強量だけでなく、家庭の学習環境の質にも強く依存します。
雑然とした視界は学習効率を下げる
視界内に物が多いと、脳は常に不要な情報を処理し続けるため、
集中力が低下しやすくなります。
観葉植物には、
視界のノイズを“整理された自然物”で置き換える効果
があります。
親の声かけや気配
リビング学習が推奨される理由の一つは、
親の適度な見守りが行動を安定させ、ダラダラを防げるためです。
観葉植物を置くとリビングの雰囲気が柔らかくなり、
親側の声のトーンや態度が自然と穏やかになることも多く報告されています。
机の明るさ・温度・湿度
植物はわずかながら湿度調節に寄与し、
乾燥による集中の乱れを防ぐことにも役立ちます。
観葉植物が集中・学習に与える影響(科学的根拠)
植物の心理効果は、研究データでも明らかになっています。
ストレス軽減効果
室内植物は、
- コルチゾール(ストレスホルモン)の低下
- 心拍変動(HRV)の改善
- 不安の軽減
などが研究で示されており、
学習前の“落ち着いた心の状態”をつくる手助けになります。
子どもがイライラしやすい時期や、宿題を嫌がる時期には特に効果的です。
視覚疲労の回復
緑色は“目の調節筋をゆるめる”作用があると言われ、
長時間のタブレット学習や読書の後に視覚疲労を軽減する効果があります。
特にオンライン学習が増えた近年では、
観葉植物による視覚休憩が自然に起きる点がメリットです。
注意回復理論(Attention Restoration Theory)
アメリカのカプラン夫妻が提唱した理論で、
自然物を見ることで“認知疲労が回復する”というもの。
植物を見た時に生じる
「ぼんやりとした注意の回復」
が、子どもの学習にとって非常に有効です。
短時間の休憩で集中が戻りやすくなります。
空気質への作用
植物のCO₂吸収は微量ですが、
心理的に「空気がキレイに感じる」効果は大きく、
気分良く学習を始めるきっかけになります。
リビング学習×観葉植物が相性が良い理由

リビングで勉強するスタイルが定着した現在、
観葉植物はリビング学習ととても相性の良い環境要素です。
心理的に“安心する空間”が作れる
植物があるリビングは、無意識にリラックス度が高まり、
子どもが落ち着いて学習に向かいやすい環境になります。
親の目が届きやすい
わざわざ学習専用部屋を整えなくても、
リビングの一角に学習スペースを作り、
そこに小さな観葉植物を添えるだけで、
「学びの場」としてまとまりやすくなります。
片付け習慣が身につく
植物を置くスペースができると、
自然と物が床に散乱しにくくなり、
視覚的な混乱が減るため学習効率が向上します。
小さな“気分転換”が自然に起きる
植物を見る行為は、脳のマイクロレスト(短時間休息)になり、
疲労が溜まりにくく、結果的に勉強が続けやすくなります。
成績向上につながる“置き方の工夫”
観葉植物の効果を最大化するための配置ポイントを紹介します。
視界の「端」に置く
植物を机の真正面に置くと、逆に気が散る場合があります。
最適なのは
視界の端に軽く入る程度の位置。
周辺視野に緑があると、
落ち着きやすく、集中が途切れにくくなります。
明るい場所に置く(ただし直射日光は避ける)
植物が暗い場所で弱ると、枯れた葉が気になって
子どもの注意が植物に偏ることがあります。
枯れにくい種類を選ぶ

植物を枯らすと逆に心理的負担が増えるため、手間の少ない種類がおすすめです。
- ポトス
- サンスベリア
- モンステラ
- パキラ
- フィカス・ベンジャミン
- ガジュマル
特にポトス・サンスベリアは強く、初心者向け。
中〜小型サイズが最適
大きい植物は圧迫感が出やすく、
視界のノイズになる場合があります。
10〜40cm程度の高さが理想です。
観葉植物を置く際の注意点
効果を期待する一方で、家庭では以下の点にも注意が必要です。
土のカビ・湿気
土が湿った状態が続くとカビが発生しやすいため、
ハイドロカルチャー(水耕栽培)を選ぶと衛生的です。
虫の発生
屋外植物を室内に持ち込むと小さな虫が付着する場合があります。
室内用植物を選びましょう。
倒れるリスク
鉢が軽すぎると倒れる可能性があるため、
低重心の安定したポットを選ぶことが大切です。
アレルギー
特定の植物でアレルギー反応が出る可能性があるため、
子どもの体質と相談しながら選びます。
“植物と成績”に関する研究事例
以下は学習環境と自然要素の関連に関する代表的研究です。
米国の研究:緑視率と学習効率
学校の教室に観葉植物を配置した実験では、
注意力・ストレス低減に統計的な改善が見られたとの報告があります。
欧州の研究:自然要素による注意回復
自然物の写真を見るだけでも注意力が回復することが確認されており、
物理的な植物はさらに強い効果を持つとされています。
日本の大学研究:観葉植物と心拍変動
植物のある作業環境で心拍変動が安定したという実験があり、
集中しやすい心理状態が作られています。
家庭での実践例(ケーススタディ)
観葉植物を活用して家庭の学習環境を整えたケースを紹介します。
机の近くに小さめの植物

足元やデスク端に小さなポトスを置いた家庭では、
落ち着いて机に向かう時間が増えたという声があります。
視界に入る「緑のゾーン」を作る
リビング全体にローテーブルの上にひとつ、
テレビ台横にひとつ設置するなど、
緑が点在するだけで空気感が大きく変わります。
植物+間接照明

自然要素と光の組み合わせは心理的安心感を生み、
学習前の気持ちの切り替えに効果的です。
まとめ:観葉植物は学習環境改善の“強い味方”
観葉植物は、子どもの成績を直接上げる魔法ではありません。
しかし、
- ストレス軽減
- 注意回復
- 視覚疲労の軽減
- 机まわりの整理
- 学習行動の安定化
といった学習に関わる要素に間接的に働きかけ、
結果的に成績向上につながる可能性が高い環境要素です。
家庭でできる環境改善策として、
観葉植物はコストが低く効果が高いため、
リビング学習が続かない・落ち着かないと悩む家庭には特におすすめできます。
