昔ながらの浴室は、タイル張りの床や壁、深い浴槽、木造の下地構造など、当時は一般的だった造りでも、現代の住環境や安全基準から見ると多くの課題を抱えています。
特に築20年以上経った住宅では、「寒い」「滑りやすい」「カビが取れない」「水漏れしているかもしれない」といった不満や不安を感じる方も多いでしょう。
本記事では、古いお風呂を快適で安全にリフォームするための方法を、費用相場や注意点を交えながら詳しく解説します。
また、後半では「システムバス化」や「DIY」「塗装による補修」など、目的や予算に応じた選択肢についても紹介します。

冬場の寒さに悩んでいましたが、システムバスに変えたら浴室全体が暖かくなり快適。床も冷たくなく、ヒートショックの心配も減りました。

床下の木が腐っていると業者に指摘されて驚きました。思い切って全面リフォームしたことで、見た目も安心感も一新できました。

段差をなくし、手すりを追加。滑りにくい床材で安心して入浴できるようになりました。介護面でも助かっています。

みんなの声としては「断熱性の向上に感動」「水漏れ被害からの再生」「高齢の母のために安全性重視」などが見られました。
タイル浴槽・木造在来浴室のリスク

昭和~平成初期にかけて多く採用されていたのが「在来工法」の浴室です。
これは、木造の下地に防水層を塗り、タイルを張って仕上げる伝統的な方法で、職人の手仕事が光る一方、経年劣化によるトラブルも多いのが特徴です。
1. 防水層の劣化による水漏れ
タイルの下にあるモルタルや防水層は、年数とともにひび割れを起こします。
見た目には分からなくても、微細な隙間から水がしみ込み、床下の木材が腐食しているケースは少なくありません。
特に浴室と脱衣所の境目や、浴槽まわりの目地は要注意です。
このような状態が続くと、次第に床が沈んだり、壁にシミが出たりします。放置すればシロアリ被害や構造材の腐朽につながり、補修費が大幅に増える恐れがあります。
2. タイルの割れ・滑りやすさ
タイル張り浴室のもう一つの問題は、「冷たさ」と「滑りやすさ」です。
冬場はヒヤッとする上、濡れると非常に滑りやすく、高齢者の転倒事故も多発しています。
特に段差のある浴槽や床の勾配が不十分な浴室では、バランスを崩しやすい構造になっています。
3. カビ・汚れの蓄積
目地のカビやタイル裏の湿気は掃除では防ぎきれません。
一見きれいに見えても、内部では黒カビが根を張り、においや健康被害の原因になることもあります。
また、換気扇が古いタイプの場合は湿気がこもりやすく、結露や腐朽菌の繁殖を助長します。
- 「在来浴室」について詳しく知りたい方へ:
昔ながらの在来工法の特徴と、現代の耐水基準との違いを解説します。
水漏れ・腐食対策

古い浴室を長く使っていくためには、「見えない部分」の点検と補強が不可欠です。
リフォーム前に必ず以下のポイントを確認しましょう。
1. 下地・土台の点検
床下に点検口がある場合は、懐中電灯で覗いてみると状態が確認できます。
木材が黒ずんでいたり、湿っぽいにおいがする場合は要注意です。
腐食が進んでいれば、防腐処理や根太交換を行う必要があります。
リフォーム業者に依頼する際は、「解体後に状況を確認してから追加見積もりを出す」形を取るのが一般的です。
最初の見積もりでは分からない下地補修費用が発生することを想定して、+5〜10万円程度の余裕を見ておくと安心です。
2. 防水シートの再施工
在来浴室を残す場合でも、古い防水層は必ず再施工が必要です。
FRP(繊維強化プラスチック)やウレタン防水などの塗膜を新しくすることで、水漏れリスクを大幅に軽減できます。
ただし、施工技術によって仕上がりや耐用年数が変わるため、実績のある業者を選ぶことが大切です。
3. 換気と断熱の強化
水漏れやカビの原因の多くは「湿気」と「温度差」です。
浴室リフォームの際には、断熱材の追加や浴室暖房乾燥機の導入を検討しましょう。
壁や天井に断熱材を入れるだけで、浴室の温度差が緩和され、結露や腐食を防げます。
また、換気扇を最新型(24時間換気対応・強制排気式)にすることで、湿度コントロールもしやすくなります。
システムバス化リフォーム

古い浴室を根本的に改善するなら、システムバス(ユニットバス)化が最も効果的です。
これは、床・壁・天井・浴槽が一体化した「箱型ユニット」を既存の空間に組み込む方法で、工期も短く、断熱性・防水性ともに優れています。
1. 費用相場と工期
一般的な戸建て住宅で、在来浴室をシステムバスに変更する費用は以下の通りです。
| 施工内容 | 費用相場(税込) | 工期目安 |
|---|---|---|
| 解体・撤去 | 約10〜20万円 | 1日 |
| 配管・下地工事 | 約10〜30万円 | 1〜2日 |
| システムバス本体+設置 | 約60〜100万円 | 2〜3日 |
| 合計 | 約80〜150万円前後 | 4〜7日 |
※ユニットのグレードやオプション(浴室乾燥機・追い焚き・窓交換など)によって大きく変動します。
2. メリット
- 防水性が高く、水漏れリスクがほぼゼロ
- 床が柔らかく滑りにくい素材を使用
- 断熱浴槽・断熱床で冬でも快適
- 掃除がラクでカビがつきにくい
- 施工期間が短く、費用が明確
これらの理由から、築20年以上の住宅では**「在来→システムバス」**へのリフォームが圧倒的に人気です。
3. デメリット・注意点
- 現場寸法によっては規格サイズが入らない場合がある
- 窓位置や天井高さの変更が必要になることがある
- 解体後に腐食が見つかると追加費用が発生する可能性
そのため、事前の現地調査と、複数業者による相見積もりが重要です。
特に木造住宅の場合は、土台や柱の補修も同時に行えるリフォーム会社を選ぶと安心です。
- 「システムバス」について詳しく知りたい方へ:
ユニットバスの構造・メーカー別特徴・最新機能を比較紹介します。
施工パターン別の費用目安

古い浴室の状態や希望する仕上がりによって、費用は大きく変わります。
以下に代表的なパターンをまとめました。
| リフォーム内容 | 費用相場(税込) | 特徴 |
|---|---|---|
| 在来浴室の修繕(タイル補修・防水再施工) | 20〜50万円 | 一時的な延命策として有効 |
| システムバス交換(戸建て) | 80〜150万円 | 最も一般的でバランスが良い |
| 高断熱・高機能タイプ(TOTO・LIXIL上位機種) | 150〜200万円以上 | 断熱・乾燥・デザイン性に優れる |
| DIY・部分補修(床塗装・目地補修) | 数万円〜 | 予算を抑えたい方向け |
部分補修やDIYの選択肢

「すぐには全面リフォームできない」「応急的にきれいにしたい」という場合、部分補修やDIYでできる範囲もあります。
- 浴槽再塗装:専用塗料で光沢を復元(約3〜5万円)
- 床シート貼り:防水性の高いバスナフローレ等を使用(約5〜10万円)
- カビ防止塗料の塗布:壁面や天井の黒ずみを抑制(約1〜3万円)
- 目地補修材・コーキング打ち替え:DIYでも可能(数千円〜)
ただし、これらは「根本的な防水対策」にはなりません。
老朽化が進んでいる場合は、補修を繰り返すよりシステムバス化のほうが結果的に安く済むこともあります。
- 「DIYでできる浴室補修」についてはこちら:
費用を抑えつつ清潔感を保つための簡単メンテナンス方法をまとめています。
- 「浴室の塗装リフォーム」についてはこちら:
塗装によって浴槽や壁を再生する工法や注意点を詳しく紹介します。
業者選びのポイント

浴室リフォームでは、施工品質が仕上がりと耐久性を左右します。
特に在来工法からの改修は専門的な知識が必要なため、以下の点をチェックしておきましょう。
- 解体・下地工事まで自社対応しているか
- 見積書に「防水・木部補修」が明記されているか
- メーカー保証+施工保証があるか(最低1年)
- システムバスメーカーの認定施工店であるか
無料見積もりサイトを活用すると、地域ごとの施工実績や口コミも比較できます。
費用の目安を知りたい場合は、複数業者の見積もりを一括で確認できるサービスが便利です。
まとめ:快適で長持ちする浴室にリフォームするために

古いお風呂は、見た目以上に劣化やリスクが進行していることがあります。
タイルや木材のひび割れを放置すると、家の構造そのものにダメージを与える可能性もあるため、早めの対策が大切です。
本記事のポイント
- 在来浴室は水漏れ・腐食リスクが高い
- 防水・断熱・換気を強化することで寿命を延ばせる
- システムバス化リフォームが最も効果的で安全
- 予算に応じて部分補修やDIYも選択可能
- 業者選びでは保証内容と施工範囲を要確認
これらを踏まえて、自宅の浴室の現状を一度チェックしてみましょう。
そして、将来的な住まいの安心・快適さを考えるなら、システムバス化を中心に検討することをおすすめします。






