お風呂の床は、毎日使う場所でありながら劣化が早く、快適性や安全性にも大きく関わります。
ひび割れ・ぬめり・冷たさ・滑りやすさなどの悩みが出てきたら、床リフォームを検討するタイミングです。
特に最近は、転倒防止・断熱性能・デザイン性を兼ね備えた素材が多く登場しています。
この記事では、お風呂の床リフォームを検討中の方に向けて、
代表的な素材の比較から費用・施工時間・DIY可否までを詳しく解説します。

古くなった床をFRPに張り替えました。見た目が一新し、掃除も簡単になりました。冷たさが軽減され、毎日の入浴が快適です。

モザイクタイルを選んでリフォームしました。デザイン性が高く、ホテルのような雰囲気に。断熱材を入れたので冬でも暖かいです。

高齢の母のためにバスナフローレを採用。滑りにくくクッション性もあり安心です。冷たさがなく、転倒の不安が減りました。

みんなの声としては「FRPに張り替え・定番リフォーム」「タイル床でデザイン重視」「バスナフローレで安全重視」などが見られました。
FRP/タイル/バスナフローレ比較
FRP(繊維強化プラスチック)の特徴

FRP(Fiber Reinforced Plastic)は、ユニットバスなどで最も一般的に採用されている素材です。
ガラス繊維で補強されたプラスチックで、軽量・防水・耐久性のバランスに優れています。
メリット
- 汚れが付きにくく、掃除が簡単
- 表面に微細な凹凸があり、滑りにくい
- 施工性が高く、コストが比較的安い
デメリット
- 長年使用すると艶が失われ、ザラつきが出る
- 紫外線や洗剤で徐々に劣化
- デザイン性はタイルに劣る
FRP床は費用対効果が高く、リフォームでも多く採用されます。
ただし、補修を重ねて使うよりも、10〜15年を目安に張り替えた方が清潔で安全です。
→ 床表面の塗膜を再生したい場合や、色を変えてリフレッシュしたい方は「塗装」について解説した記事で補修方法を紹介しています。
タイル床の特徴

タイルは昔ながらの在来浴室によく使われている素材で、デザイン性と耐久性に優れています。
天然石調やモザイクタイルなど、意匠性が高く高級感を演出できます。
メリット
- 見た目が美しく、高級感がある
- 断熱下地を併用すれば保温性も確保可能
- 摩耗に強く、長寿命
デメリット
- 施工費が高く、下地処理が必要
- 目地にカビが発生しやすい
- 冬場に冷たさを感じやすい
最近では、ヒートショック対策として「温かいタイル」や「断熱タイル」も登場しています。
また、滑りにくいノンスリップ加工タイルもあり、介護リフォームにも活用可能です。
→ タイル床を採用する際の下地構造や防水層との関係は、「在来浴室」について解説した記事で詳しく触れています。
バスナフローレ(クッション系床材)の特徴

「バスナフローレ」は、東リ株式会社が開発した浴室専用のビニル系床材です。
近年、ユニットバスや在来浴室のリフォームでも注目されている素材です。
メリット
- クッション性があり、転倒時の衝撃を吸収
- 表面が微細なエンボス加工で滑りにくい
- 冬でも足元が冷たく感じにくい
- 既存床の上から施工可能で工期が短い
デメリット
- カッター傷などが入りやすく、重い物の落下に弱い
- 高温に長時間さらすと変形の恐れ
- デザインは木目調や石目調などに限られる
総合的に見ると、快適性と安全性を重視したい家庭向けの床材です。
特に高齢者のいる家庭や子どもが走り回る環境では、バスナフローレの柔らかさが安心感を与えます。
費用相場と施工時間

床材別の費用目安
お風呂の床リフォーム費用は、素材と施工方法によって大きく変わります。
下記は一般的な戸建て・マンションでの相場目安です。
| 素材 | 費用目安(㎡あたり) | 工事期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| FRP張り替え | 約2〜3万円 | 1〜2日 | 一般的・低コスト |
| タイル貼り替え | 約3〜5万円 | 2〜3日 | 高級感・長寿命 |
| バスナフローレ施工 | 約2.5〜3.5万円 | 1日 | 快適・短工期 |
ただし、既存床の状態や下地の補修が必要な場合は追加費用が発生します。
特に在来浴室では、防水層の再施工や排水口の補修が必要なケースもあります。
→ 素材別のより詳しい費用比較は「費用」に関する記事で紹介しています。
工事の流れと注意点
一般的な床リフォームの流れは以下の通りです。
- 現地調査・採寸:床下の構造、排水位置、防水状態を確認。
- 既存床の撤去:古い床材を剥がし、下地を清掃・乾燥。
- 防水処理:下地コンクリートやモルタル層に防水剤を塗布。
- 新床材の施工:接着剤または専用モルタルで貼り付け。
- 仕上げ・乾燥:シーリング・コーキングで防水仕上げ。
FRPやバスナフローレは乾燥時間が短いため、1日施工も可能です。
一方、タイル床は下地や接着層の乾燥が必要なため、2〜3日かかることもあります。
冷たさ・滑りやすさを軽減する施工オプション
床リフォームの際に同時に検討したいのが、断熱シートやノンスリップ加工の追加です。
- 断熱シート下地:冬場の冷たさを緩和。ヒートショック対策に効果的。
- 防滑コート:既存床の上に塗布するだけで滑りにくくなる。
- 抗菌コート:カビやぬめり防止に有効。
特に浴室床がタイルの場合、目地や表面の滑りが事故の原因になりやすいので、
安全対策としてこれらの加工を併用するのがおすすめです。
DIY可否と耐久性

DIYが可能なケース
「自分で床を直せないか?」という質問も多く聞かれます。
結論から言えば、DIYは一部の床材なら可能ですが、在来浴室では難易度が高いです。
DIYに向くケース
- ユニットバスの床上にバスナフローレや防滑シートを貼る場合
- 小面積の部分補修(ひび割れ部のコーキングなど)
- 塗装タイプの防滑剤を塗布する場合
DIYに不向きなケース
- タイル床の全面貼り替え
- 下地モルタルの再施工
- 排水口や防水層の補修を伴う工事
とくに防水層を破損すると漏水の原因になるため、構造部分の工事は専門業者に依頼するのが確実です。
→ 自分で床を塗り替える場合のコツや注意点は、「塗装」記事で詳しく紹介しています。
耐久性の目安とメンテナンス
床材の耐用年数は、使用頻度や掃除方法によっても変わります。
おおよその目安は以下の通りです。
| 素材 | 耐用年数 | メンテナンス方法 |
|---|---|---|
| FRP | 約10〜15年 | 中性洗剤で定期清掃、研磨剤NG |
| タイル | 約20年以上 | 目地清掃と防カビ剤の定期使用 |
| バスナフローレ | 約10年 | 表面ワックス不要、柔らかいスポンジで掃除 |
耐久性を保つポイントは、「強い洗剤を使わない」「換気を十分に行う」ことです。
また、足元マットを敷くと劣化を早める場合があるため、湿気がこもらない工夫も重要です。
安全面・バリアフリー性の向上
近年は高齢者世帯や介護住宅で、床の安全性が重視されています。
転倒時のけがを防ぐために、柔らかく滑りにくい素材を選ぶのが基本です。
- 表面エンボス加工付きの床材
- クッション層入りのビニル系素材
- 段差をなくすバリアフリー設計
こうした対策により、家族全員が安心して使える浴室にできます。
→ 在来構造でのバリアフリー改修例は、「在来浴室」記事で具体的に紹介しています。
まとめ:素材選びで快適さと安全性を両立

お風呂の床リフォームは、見た目を変えるだけでなく、安全性・快適性・保温性を向上させる大切なリフォームです。
FRPはコスパ重視、タイルは高級感重視、バスナフローレは安全重視と、それぞれに特長があります。
費用相場や工期、DIY可否を踏まえて、自分のライフスタイルに合った素材を選ぶことで、
毎日の入浴がより快適で安心なものになります。
さらに詳細な補修・費用・施工事例については、下記テーマで解説しています。
- 「塗装」:床を塗り直してリフレッシュする補修方法
- 「在来浴室」:構造別の施工方法と防水層の注意点
- 「費用」:床材別のリフォーム価格比較と見積もりの見方





